私立中学・高校へ行こう朝日入試相談会情報

中学受験は保護者の役割が大きい受験です。もちろん、試験を受けるのは子ども本人ですが、中学受験の仕組みやどんな中学校があるのかといった制度面は、保護者の方が理解しておく必要があります。
このコーナーでは知っているようで意外と知らないこともある中学受験の基礎知識をおさらいします。


2024年度入試は
1月13日統一日程

 関西圏の中学入試は例年、1月の第二土曜日を統一の解禁日としています。
2024年度は1 月13日がその日程となります。関西圏の入学試験を行う中学校はそのルール内で日程を決めますが、岡山県や四国など、関西圏外の中学校についてはその限りではなく、12月や1月の上旬に関西圏に入試会場を設けて先行して試験を実施する学校もあります。
解禁日以降は、各校の裁量で入試日程が組まれています。多くの私立中学校は解禁日に入試を実施し、その後にも複数回の日程を設定しています。ただし、いくつかの学校では初回入試を1月14日以降に設定するところもあります。
たとえば、3日目(1月15日)に入試を実施する東大寺学園や洛南高校附属。また、国立中学校の中には、さらに遅い日程で入学適性検査を行うところもあります。
灘や甲陽学院などの一部の難関校では、解禁日と翌日の2日間かけて入試を行います。神戸女学院は2日間かけて入試を行うのは同じですが、キリスト教の安息日である日曜日を避けるため、中1日置いての実施としています。

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日 程 全体の予定 複数日入試校など
12月~1月上旬 岡山県・四国勢先行入試
1月13日(土) 関西圏統一実施日
大教大天王寺中1次
灘・甲陽学院などの
2日間入試校
神戸女学院 1日目
1月14日(日) 2日目
1月15日(月) 東大寺学園
洛南高校附属など
神戸女学院 2日目
1月17日(火) 神戸大学附属など
1月20日(土) 大教大学池田・平野、
公立中高一貫校など

男子校・女子校・共学校

 原則として入学者に男子・女子を区別しない公立中学校と異なり、私立の中学校には男子のみの教育を行う学校、女子のみの教育を行う学校があります。
男子校では、生徒が男子のみであることを生かした勇壮な行事が行われたり、女子校では、女子のリーダー教育に力を入れたりとそれぞれ男子のみ・女子のみである環境を生かした教育を実践しています。
また、男子生徒・女子生徒をともに受け入れながらも、男子校・女子校のそれぞれの良さも取り入れようという「併学」という制度をとっている学校もあります。これは、授業や普段の学校生活は男女別としながら、行事や課外活動では男女共同とするものです。
いずれにしても公立校にはない制度ですので、中学受験の際には、どの学校種別が良いのかをしっかりと比較検討してみてください。

建学の精神や宗教教育

 「私立」の学校には、当然ながら中学校を作った人物や母体が存在します。
学校を作った人たちの教育にかける熱意や社会をより良くしたいという思いが、教育内容に反映されているのです。
「建学の精神」や「教育理念」は指導の根幹となります。入学後に「思っていたのと違う」とならないように、必ず調べておきましょう。宗教団体が母体となった学校は大きく分けて下記の表のようになります。同じキリスト教の学校であっても、カトリック(ローマ・カトリックを総本山とするキリスト教)系とプロテスタント(宗教改革以後に誕生したキリスト教)系では、指導方針や校風などが違う場合が少なくありません。大まかにはカトリック系は修道院にルーツを持ち、規律や躾をしっかりと指導する学校が多く、プロテスタント系は制服がないなど生徒の自主性を重んじる学校が多いようです。
ほとんどの宗教校では、入学者の信仰は問いません。ただ、学校によっては、日々の学校生活のなかで宗教に触れる時間があるので、考え方に賛同できない場合は志望校に含めない方がよいでしょう。
躾や情操教育の一環として宗教的な考えを取り入れている学校もありますので説明会などでよく確認しましょう。学校紹介ページのアイコンもご活用ください。他方、近年の日本で宗教的な考え方に触れることができるのは貴重な機会・経験であるともいえます。世界を見渡すと何らかの信仰を持つ人が多数派です。彼らの考え方を理解するためにも宗教教育はよい場となるでしょう。
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宗教 宗派 学校名
キリスト教 カトリック系 六甲学院、常翔啓光学園、仁川学院、大阪星光学院、和歌山信愛、大阪信愛学院、香里ヌヴェール学院、京都聖母学院、ノートルダム女学院、神戸海星女子学院、明星、愛徳学園、淳心学院、洛星、光泉カトリック、アサンプション国際、賢明学院、賢明女子学院、百合学院、小林聖心女子学院
プロテスタント系 啓明学院、梅花、同志社香里、同志社女子、神戸女学院 、同志社、同志社国際、関西学院、近江兄弟社、大阪女学院、清教学園、平安女学院、桃山学院、プール学院、松蔭
仏教 浄土宗 華頂女子、開智、京都文教、上宮学園、東山
浄土真宗 龍谷大学平安、神戸龍谷、相愛、京都女子、大谷(大
阪府)、大谷 (京都)、京都光華、神戸国際
真言宗 清風南海、清風、洛南高等学校附属
天台宗 比叡山
臨済宗 花園
和宗 四天王寺、四天王寺東
華厳宗 東大寺学園
弁天宗 智辯学園、智辯学園奈良カレッジ、智辯学園和歌山
神道 神道 浪速
新宗教 PL教団 PL学園
金光教 金光八尾、金光大阪
創価学会 関西創価
天理教 天理

(表) 宗教学校- 例

同じレベルの集団による
中高一貫教育

 入試のない公立中学校では、個々の学力も家庭の教育への関心もバラバラの子どもたちが同じクラスで学ぶことになるので、どうしても授業のレベルを「理解の遅い生徒」に合わせる必要があり、理解できている生徒にとっては退屈な授業になりがちです。
一方、入学試験のある国公立・私立中学校では、一定の学力を満たした同級生たちとともに学ぶことになります。学力レベルや家庭の教育への関心度が近い仲間と同じクラスになるため、教員側も授業を進めやすく、力を入れるポイントや時間をかけずに流す箇所などのメリハリが付けやすくなります。
それに加えて、中高一貫教育では、高校受験のための対策授業が必要ないだけでなく、中学校で一度習ったことを高校で繰り返すという重複もなく授業時間を効率的に使うことができます。さらに、もともと設定されている授業時間数も一般的な公立中学校より多いところが多く、時間の余裕を持ちつつ、カリキュラムも効率的に進められるので、学力を伸ばすのに有利な環境と言えます。

どの学校にも
独自の校風がある

 公立中学校では、教育行政における公平性という観点から、教員が数年ごとに異動し、どの中学校も同じ水準・雰囲気を持つように配慮されています。
それに対して、ほとんどの私立中学校は独自の「建学の精神」を持ち、その理念に沿った教員を迎え入れて、新卒から定年まで同じ
学校で教鞭を執るという場合も少なくありません。さらに、その教員がその学校のOB・OGであることもよく見られます。
それぞれの学校の良さが長年受け継がれ、教員、卒業生、在校生たちによって増幅されているのです。その結果、「自由な校風」「文武両道を奨励する」「家族的な雰囲気」「進取の気風」といった学校独自の雰囲気が作り上げられます。
さまざまな校風の学校がある中で、通学区域によらずに自分に合う学校を選ぶことができるというのも中学受験での大きな魅力です。

6年間をフル活用できる
大学附属校

 中高一貫教育だけでなく、大学を併設する大学附属校を選ぶことができるのも中学受験のメリットです。
大学附属校で内部推薦を受けられれば、大学受験のために時間を取られることなく、部活動を最後まで続けられたり、研究活動や趣味に打ち込んだりすることができます。
また、学校によっては外部大学の受験・進学を奨励する附属校もあります。進学校と同様の進路指導を行う大学附属校も見られます。コースによって、外部大学への進学をめざすのか、内部推薦を受けるのかを選ぶ附属校もあります。
大学附属校が一般の進学校と進路に関して大きく異なるのは、万が一思うように成績が伸びなくても内部推薦という保障があるというところです。内部進学の権利を保留したまま、国公立大学や他大学を受験できる附属校もあります。
加えて、系列大学との教育上の連携も附属校の大きな魅力です。施設・設備の共有から、人的交流、先取り学習まで幅広く行われています。
系列大学の充実した施設・設備を利用できたり、大学の教授が中高に教えに来たり、大学生がコーチとして部活動を手伝ったりと学校によって、様々な取り組みがあります。高校生が大学の講義を受けて単位を取ることができたり、飛び級ができたり、といった制度を持つ学校もあります。そのような学習環境が整っているということも、大学附属校の大きなメリットです。

補修や検定指導などの充実した指導システム

 よく私立中高一貫校に通わせると「塾代がいらないからトータルでは安かった」という話を聞きます。大部分が無償である公立中高と比べるわけですから、やや無理のある話ではありますが、公立高校から予備校に通い浪人まですることと比較すれば、一理ある話になってきます。
多くの私立中高では、放課後や長期休暇中に講習や補習を実施しています。なかには、学内予備校として外部の指導を導入したり、昼休み・放課後に英会話教室を開いたり、各種の検定試験対策をしたりするところもあります。それらを個々に通わせることと比べると、確かにお得になる場合があるかもしれません。
放課後に学校を出てから塾や英会話教室まで通う時間や安全面でのコストを考えると、学校内で予備校・英会話教室まで享受できるというのは費用面を超えた「お得さ」があるとも言えるでしょう。

豊富な行事と
体験型学習

 高校受験のための無駄がない、中高重複カリキュラムの無駄がない、授業時数を多く確保している、ということからくる中高一貫のメリットは何も学習面だけに活かされるものではありません。
時間の余裕から、多彩な学校行事やクラブ活動への積極的な参加も可能となります。学校にもよりますが、学習指導がきびしいと言われている学校でも中学段階ではクラブ活動や行事を推奨している私立中高は少なくありません。中学ではクラブや行事に打ち込み、高校段階から本格的な大学受験対策に移る、というメリハリのきいた6 年間が送れるのも中高一貫ならではのメリットです。
私学に対する誤解のひとつに「勉強をさせるなら私学だけれど、クラブや行事の充実なら公立がいい」というものがあります。
確かに、進学校とされる学校の中には学習指導のきびしいところもあります。しかし、そのような学校も含めて、多くの私学が積極的に行事に取り組み、クラブ活動も奨励するところが少なくありません。それが建学の精神であり、積年の校風だからです。
私学の行事の中には、公立中学校では取り組めないような、体力・精神力の限界に挑戦する行事もあります。無人島でのキャンプや、一夜をかけての数十キロ踏破といったユニークなプログラムを実施する学校もあります。
これらの行事に参加することで、生徒たちは大きな達成感と強い連帯感を経験します。そういった経験から得たものは、大学受験での苦しい時期だけでなく、社会に出てから苦境に立たされた時に発揮される力となるそうです。この数年間は、どの学校も行事に制限があり一部休止されていました。再開されるか気になる行事があれば学校に問い合わせてください。

志望校選択

 子どもの成績や偏差値だけではなく、「我が子にあった学校なのか」「どんなふうに育ってほしいのか」など、広い視点で志望校を選ぶことが重要となります。
そのためには、学校説明会やオープンスクール(学校見学会)やプレテストなどの入試関連行事と合わせ、文化祭や体育祭などの公開行事にも積極的に参加し、その学校の先生や在校生の様子、校風・雰囲気など学校案内やホームページなどでは伝わりきれない情報を肌で感じることも重要となってきます。また、6年間通学しますので、通学時間やコースなども重要になります。実際には公共交通機関などでルートを確認しておきましょう。