私立高校の併願優遇制度は活用するべき?利用のメリットとデメリットを紹介

都立高校への受験を考えている学生の中には、滑り止めとして併願優遇制度を使った私立受験を検討している方もいることでしょう。本記事では、私立高校の併願優遇制度のメリット、デメリットを紹介します。併願優遇のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
併願優遇制度とは?

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併願優遇制度とは、東京または一部の都道府県を中心に私立高校で実施されている入試制度のことです。
併願優遇制度の併願とは“都立高校も受験してもよい”という意味。都立高校に合格すれば、併願優遇制度を利用した私立高校への入学を辞退し、都立高校への入学が可能です。落ちた場合は、併願優遇を利用した私立高校に進学することになります。
ほとんどの私立高校が合否判定に内申点を用いることも特徴です。内申点が基準に達していれば、それだけで合格がほぼ確定します。しかし、一般入試の点数や英検などの検定試験での基準を設けている私立高校も一部ありますので、事前に制度を確認しておくことが大切です。
また、制度を利用するには、私立高校が提示する条件をクリアすることが必須になります。
併願優遇を利用できる条件

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併願優遇を利用できる条件は、以下の通りです。学校によって併願優遇の条件は異なるので、あくまで参考に留めておいてください。
学校の内申点 |
学校の内申点
ほとんどの学校で重視されているのが、学校の内申点です。各教科5段階評価のうち、提示されている内申点以上に得点が取れているかどうかチェックされます。具体的には3科目なら14以上、5科目なら23以上というような形で評価されるのが一般的です。
学校の内申点は、主に中3の2学期の時点でどれくらい取れているのかが重視されやすいといわれます。そのため入学当初の成績が悪かったとしても、中3の段階で条件の内申点まで取れていれば問題ありません。
ただし内申点が基準点を満たしていたとしても、ほかの併願基準が満たされていなければ出願できない場合があるので注意しましょう。
出欠状況
併願優遇の受験でチェックされるのが、出欠状況です。各学年の欠席日数が条件以下であれば優遇される可能性があります。当然ながら皆勤賞も併願優遇の得点として加点されやすいです。
万が一欠席や遅刻などが多かった場合でも、病気やけがなどのやむを得ない事情であれば大目に見てもらえることもあるので、担任の先生または志望校に相談してみてください。
学校説明会・個別相談会への参加
併願優遇の制度を利用するにあたって、学校説明会・個別相談会への参加は欠かせません。学校によっては説明会や個別相談会への参加を条件としているところもあるので、入学の意思を示すためにも足を運びましょう。
部活動・委員会活動
部活動や委員会活動などをしている場合、学校によって併願優遇の得点に加点されます。たとえ内申点がギリギリの点数だったとしても、部活動や委員会での活動を評価してもらえることもあります。
漢検・英検
漢検や英検などの資格も併願優遇の得点として加点されやすいです。中学卒業までに3級を取っておくのが望ましいでしょう。準2級以上であれば、大きな優遇を受ける可能性もあります。
漢検や英検は、中1、中2の段階で取得するのがおすすめです。中3の場合は受験のタイミングと被ってしまうため、勉強の負担がかかりやすくなります。もし資格での得点獲得を目指したい場合は、早めに受験しましょう。
V模擬W模擬の成績
学校によってはV模擬W模擬の成績を見て併願優遇の受験が可能か判断しているところもあります。個別相談会の際に、模試の結果を提示すれば併願優遇の確約を受けられるかもしれません。
もし個別相談会に足を運ぶ際は、過去に受けたV模擬W模擬の試験結果を持っていきましょう。
併願優遇のメリット

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併願優遇の魅力は、一定の条件を満たしていれば合格に近づきやすいところです。そのほかにもメリットはたくさんあり、都立高校の受験に役立ちます。
公立高校の合格発表まで締め切りを待ってくれる
通常であれば、私立高校での合格が確定すると入学手続きの案内が来ますが、併願優遇を活用すると都立高校の合格が出るまで待ってくれる場合があります。学校によっては2月末や3月頭まで待ってくれるところがあり、入学金納入を保留にすることが可能です。
ただし学校によって入学金納入のタイミングが異なり、場合によっては延納手続きが必要なこともあります。もし併願優遇を活用する際は、合格後の入学金納入のタイミングについて事前に把握しましょう。
滑り止め対策がしやすい
併願優遇制度を利用するメリットは、滑り止め対策がしやすいところです。高校受験をするにあたって、受験校の全落ちは避けたいところ。私立の併願優遇制度を利用することによって、志望する都立高校に落ちたとしても滑り止めとして私立高校に入学できます(※)。
※私立高校の提示する条件を満たしている場合
都立高校の受験勉強に集中しやすい
私立の併願優遇の魅力は、都立高校の受験勉強に集中しやすいところです。合格がまだ決まっていない状態よりも、12月の三者面談の地点で私立高校への併願優遇で合格が確約されていれば、本命の都立高校への受験勉強に専念しやすくなります。
志望校の受験対策に専念できれば、合格に一歩近づきやすくなるでしょう。
併願優遇のデメリット

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併願優遇は滑り止め対策や入学手続きの締切延長などさまざまなメリットがある一方、制度ならではのデメリットもあります。制度内容についてよく知らずに利用してしまうと、受験対策で苦労してしまうかもしれません。
受験校が限られる
併願優遇を使った受験をする場合は、第一志望校は都立高校、第二志望校は私立高校というのが受験スタンスです。併願優遇の制度は基本的に、ほかの私立校の受験は不可となっているため2校の受験がベースとなります。まれに第三志望まで併願優遇を受けることはありますが、まれなケースといえるでしょう。
併願優遇がない学校もある
すべての私立高校で併願優遇の制度が適用されているとは限りません。たとえ行きたいと思っていた私立高校であっても、併願優遇制度がないと当日の試験の得点のみで合否が決まってしまいます。
条件を満たしていないと受験できない
併願優遇を活用する際は、志望校が定めている条件をクリアしなければなりません。例えば内申点が37以上を条件とされていた場合、36点で1点足りないだけでも併願優遇が適用されないことがあります。
併願優遇を使用できるようにするためには、事前に条件を確認した上で満たすことが必要です。
100%合格できるとは限らない
併願優遇と聞くと「確実に合格できるのではないか」と期待してしまう方もいるでしょう。
しかし併願優遇であるからといっても、合格が確約されているとは限りません。たとえ基準を満たしていたとしても、当日の試験のテストを白紙で提出したり、面接での態度や振舞い方などが悪かったり、ピアスやネックレス、茶髪など風紀の乱れた服装で受験したりすると不合格になる可能性があります。
併願優遇であっても、しっかりとした姿勢で受験に臨みましょう。
併願優遇の流れとポイント
併願優遇での受験は一般受験とは異なるため、事前に流れを知ることが必要です。具体的に併願優遇での受験は、どのような流れになるのか紹介します。
1. 学校説明会・個別相談会への参加【夏休み~10月】
併願優遇を受けるためには、学校説明会・個別相談会へ足を運びましょう。学校の情報収集はもちろんのこと、このようなイベントの参加が、併願優遇適用の条件としているところもあります。
個別相談会では、受験への準備や2学期での内申点の取り方など、気になる点を質問してみてください。
2. 仮内申点の確定【11月末~12月頭】
2学期の期末試験が終わると、仮内申点が決まります。この時期の試験は併願優遇が受けられるかどうか重要となるので、しっかり対策をして、高い内申点を取れるようにしましょう。
3. 三者面談【12月】
仮内申点が出たら、三者面談で併願校を決めます。受験する志望校の条件を満たせていればよいですが、場合によっては受験が難しいことも少なくありません。もし条件によって併願優遇が難しい場合は、ほかの学校への受験も検討した方がよいでしょう。
三者面談でしっかり話して、どの学校で併願優遇を受けるべきなのか検討してみてください。
4. 学校の先生が私立高校へ訪問【12月】
一般試験と併願優遇が異なる点は、試験への申し込み方です。併願優遇では中学の先生が私立高校へ訪問に伺い、併願優遇の手続きを進めます。そのため生徒の方では、受験の手続きをする必要はありません。
5. 一般入試の受験【2月】
2月には、私立の一般入試を受験します。試験内容は、学力試験(基本は英数国)、面接の2つがメインです。併願優遇が適用されているとはいえ、極端に試験の点数が低すぎたり、面接で悪い態度を取ってしまったりすると落ちる可能性があります。
確実に合格を勝ち取るためにも、試験当日はしっかりとした姿勢で臨みましょう。
併願優遇でもしっかり受験対策をしよう

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本記事では、私立高校の併願優遇制度のメリット、デメリットについて紹介しました。学校が指定する条件を満たしていれば受けられますが、100%合格できるとは限りません。また受けられる学校も限られてくるので、慎重に高校選びをした上で併願優遇を使った受験に臨みましょう。